雅楽間人公演「心田を耕す」

PERFORMANCE

雅楽は、1400年前、中国・朝鮮半島より大和朝廷にもたらせられた起源を持つと言います。 2021年は聖徳太子の母・間人皇后の1400年遠忌にあたり、翌年2月には聖徳太子が亡くなっています。6世紀末、間人皇后が、蘇我氏と物部氏の争乱を避け、しばらくのあいだ滞在していた間人(たいざ)において、奉納の祝詞に続き、安寧を祈る雅楽を、天王寺楽所雅亮会に竹野神社拝殿を舞台として、初披露いただきました(天王寺楽所雅亮会副理事長 小野真龍氏による解説付)。

竹野神社は、9代開化天皇の妃となった竹野媛が晩年帰郷した際に、天照皇大神を祀って創建したといわれる由緒ある神社です。 当日は、地元の「縄屋」さんによる、京丹後の食材を活かした「海のスープ」を提供しました。

 

開催日

2021年12月12日(日)午前10時30分から正午まで

 

 

会場

竹野神社(京都府京丹後市丹後町宮249番地)

演目

演者:天王寺楽所雅亮会

演目:管絃「平調 越天楽」、舞楽「蘭陵王」・「抜頭」

主催

NPO法人TOMORROW

特別協力:竹野神社・斎宮神社、天王寺楽所雅亮会、縄屋

蘭陵王(写真:森川昇)

現代の雅楽は、古来から受け継がれてきた装束、楽器、演出により、聖霊会をはじめとする儀式で奉納されることが多く、日本が誇るパフォーミングアーツでありながら、一般の人々が体験する機会は非常に限られています。また、技量を要する伝統的な芸能であることから、新しい試みが演じられる機会が非常に稀であることも事実です。

 

装束や楽器の制作者も人材不足、高齢化による衰退が顕著な状況の中、人と才能、技術が織りなすであろう新しい芸術表現により、観る人の感性を耕す景気となることを目標、そして願とし、「あしたの畑パフォーミングアーツプロジェクト『心田を耕す』」は、楽器や装束の制作者が減少しつつある雅楽を取り巻く現状を改善、また関係を継続し、今後、現代美術家との合作を発表することを視野に入れ、今回の公演の開催が、今後の伝統芸能と現代との未来の新たな価値につながる取り組みになることを目指しました。

 

馬頭(写真:森川昇)

「天王寺楽所」は、聖徳太子が雅楽の前身であった外来音楽でもって三宝(仏・法・僧)を供養せよ、と命じて以来、四天王寺に置かれたと伝わる、雅楽伝承組織です。聖徳太子の年忌法要である「聖霊会」での奏楽・奏舞を行なうことを根本的な目的として、三方楽所の一つとして、日本の雅楽伝承を支えてきました。明治以降は、「雅亮会」がその伝統を受け継ぎ、「天王寺楽所雅亮会」として重要無形民俗文化財「聖霊会の舞楽(天王寺舞楽)」の奏演を担っています。

 

「和を以って貴しをなす」ではじまる十七条憲法は、国家の安寧を願う想いは、すべての境界を超えて、世界市民であれば誰もが願う、世界平和への願いに通じるものであると信じます。 「あしたの畑」は、食、アート、建築、工芸などクリエイティブなアプローチにより、現代を生きるすべての人が、より良い未来を築く一員となる手助けをすることを、使命のひとつと考えていることから、今、舞楽の美ー楽器・装束・人ーが心田を耕す契機であると考え、公演を企画しました。

 

生きながらにしてもう存在してはいけないような心境に追い込まれている全世界の人々がもう一度、心を動かし始める感受性を表現者もそれを受け止める側も育むことができるには、感動する体験が不可欠であり、総合芸術により人と人が向き合う場を生み出します。

 

現実とこれは夢なのか?と疑いたくなるような自己欲望を満たす経済活動の故の環境破壊、ゆきぎる資本主義の中に生きなければならない今、限りある生命を少しでも有意義に、そして奇跡の星・地球を次世代に健やかに受け継ぐために芸術文化活動と人と人がつながる機会を作り、感謝し、支え合う心となるきっかけとなることを願い、現代美術家、工芸家、建築家、料理人が共同で地方におけるこれからの日本での生き方を提示する展覧会「心田を耕す」を同時開催しました。